眼抗加齢医学研究会
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眼抗加齢医学研究会報告


眼抗加齢医学研究会 今村 裕
                               (慶應義塾大学医学部眼科)

                               
2005年3月27日に京都で開催された日本眼科学会総会においいて第1回眼抗加齢医学研究回が催された。
本研究会は、2015年には人口の25パーセントが65歳以上になるという現況を踏まえ、 加齢性の眼科疾患に対する研究および予防医学およびその治療の研究を主たる目的として設立された。

 第1回研究会においては、まず世話人代表である慶應義塾大学医学部眼科の坪田一男教授より  抗加齢医学の概要と老化の諸説についての話があり、続いて老眼の治療を  慶應義塾大学医学部眼科 根岸一乃先生に、加齢黄班変性に対する治療を  京都府立医科大学眼科 金井英貴先生に、予防医学的アプローチを  慶應義塾大学医学部眼科 今村裕、さらに特別講演として、ルイ・パストゥール医学研究所の  藤田晢也先生には抗加齢医学の基礎面を概観して頂いた。

@加齢医学オーバービュー  坪田一男
まず、現在の高齢者の増加を示す疫学データを示し、人類の最高寿命は、
文明の進化とともに明らかに延長しており、明らかに女性の方が
男性より長寿であることを概説した。

抗加齢医学の基本概念は、加齢という現象を生物学の言葉で
叙述が可能であり加齢現象そのものに対して、積極的な介入制御が
可能であるということである。

現在、加齢を規定する因子には諸説があるが、有力なものに以下がある。
@酸化ストレス説
Aホルモンバランス説
BDNA修復能異常説
C免疫調節能力異常説
したがって、加齢に伴う、成人病、ガン、易感染性は、これらの生命現象の
異常と考えられる。

現時点で、エビデンスがある抗加齢医療は決して多くはないが、
抗酸化剤の内服、いわゆるサプリメント服用は有効な治療と考えられる。
このほか、適切な生活習慣の指導、禁煙、健康診断などは
重要であると思われる。

今後、高齢者の増加に伴い、予防医学が重要性を増すことは間違いないため
抗加齢医学の発展が期待されている。


AアコモダティブIOL   根岸一乃
根岸一乃先生の講演では、老眼の治療について触れられた。
つまり、老視は調節能力の異常でおこることが分かっているが、
その原因についてはまだ不明なことが多い。

しかし、人間が加齢を老眼によって、もっとも早く自覚することは
明らかであるため、老眼に由来する研究および老眼への適切な治療は、
重要である。

現在、慶應義塾大学では、調節能力を持つといわれる人工水晶体
(アコモダティブIOL)を用いた白内障手術を試行している。

自覚的に近見視力が上がる患者さんがいるのは、事実であるが、
実際の調節力の回復が得られるかどうかのエビデンスは、
現時点で得られていない。今後の研究が必要である。


B加齢黄班変性に対する光線力学的療法 金井英貴
金井先生の講演では、加齢黄班変性への取り組みについて話された。
現在、加齢黄班変性(以下、AMD)は、先進諸国での高齢者の
失明の主因である。

したがって、進行したAMDに対する治療の開発は急務である。
現在、光線力学療法および、抗血管新生因子の投与がわが国で行われている。
光線力学療法(以下、PDT)は、現時点で長期経過は不明な部分があるが
進行したAMDに対して、予防効果がある。
今後も、慎重に患者をフォローし、より適切な治療時期・および適用患者の
決定の探索が必要である。


C加齢黄班変性の新しい治療 今村裕
今村裕よりは、加齢黄班変性の予防的アプローチについて、概説した。
AMDは、臨床研究および疫学調査から遺伝的素因と環境因子が
発祥に重要である。その中でも、特に酸化ストレスがその発症に関与することが
強く示唆される。

したがって、酸化ストレスを除去するための、予防および治療の開発が
必要であると思われる。

米国で行われた臨床試験(AREDS)では、ビタミンC・E、ベータカロテン、
酸化銅、酸化亜鉛の大量内服がAMDの発症予防および視力低下の予防に
有効であることを示した。
この事実は、AMDの発症には、酸化ストレスが関わっていることを裏付けるものである。
また、ドルーゼンといわれるAMD初期の病変には酸化修飾されたたんぱく質を含んでいる。
したがって、ドルーゼンの段階で網膜にかかるフリーラジカルによる障害を
除去するような治療法が望まれる。

剖検眼の研究で、AMD患者の色素上皮には、鉄が大量に沈着していることが示された。
鉄はフリーラジカルの強力な発生源であるため重金属を排出させるような治療法も
有望であると考えられる。


D特別講演 「抗加齢医学入門」
藤田先生は加齢を規定する遺伝的素因について、ご講演された。
最近、興味を集めているのは、線虫を用いた解析でいくつかの遺伝子が寿命の延長に
重要な役割を担っていることが示されている点である。

daf-2(IGF−1レセプター)、daf-16(Foxo)が寿命を規定する因子であることが
分かっている。
さらにヒトでは、遺伝子の異常により、寿命が短命となる症候群が知られている。

ダウン症候群、ウェルナー症候群などは、その遺伝的背景が深く研究されている。
また、寿命を決定する因子として、摂取カロリーの制限もより重要性を増すと思われる。
藤田先生は、基礎的な遺伝子的素因のご講演にとどまらず、その研究を受け
栄養学的検討も重要である。
要約するならば、おいしいものを少しずつたべるということが、
健康寿命の延長に不可欠であると思われる、とまとめた。

 

 
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