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人生100年時代の活力をつくる医学マガジン

順天堂大学大学院認知症診断・予防・治療学講座 客員教授  田平 武先生

順天堂大学大学院認知症診断・予防・治療学講座 客員教授  田平 武先生

2020年度抗加齢医学功労賞受賞

 抗加齢医学功労賞授賞式で記念品としてバカラのグラスを頂きました。グラスの形が上品でビールが大変美味しく感じられるので気に入っています。ありがとうございました。

研究人生を振り返って

 私は九州大学で神経内科を学び、日本では稀な病気である多発性硬化症を研究する先生に師事しました。多発性硬化症は欧米で患者が多い為、NIH (アメリカ国立衛生研究所)に留学させてもらいました。NIHでは、最先端技術を取り入れた研究は勿論のこと、様々な研究部門の多くの研究者や技術者との情報交換、同僚との交流等、大変なこともありましたが、刺激的でした。そこで今日の神経免疫学の研究土台を作ることができたと思います。

 帰国すると日本で症例の多い病気の研究をしてほしいとの要望を受け、日本は高齢社会になっていくことからアルツハイマー病の臨床研究を始めました。

第21回日本抗加齢医学会総会 抗加齢医学功労賞受賞式にて / 抗加齢医学功労賞 記念品

 自分の研究を完成させたい、患者さんに届けたいと思っていますが、日本には年齢制限があり働き続けることができません。一方、米国は研究と研究資金が稼げれば働き続けることができ、中国もそれに倣っています。COVID-19のmRNAワクチンの登場は予想もしていなかったのですが、ハンガリー出身の研究者がコツコツ研究してドイツがサポートしていました。素晴らしいと思います。ハンガリーは日本と異なり基礎研究者の方が高給かつ名誉があります。日本では、すぐに役立たない研究には予算が充てられません。現行の制度では日本は立ちゆかなくなるのではと思います。

日本抗加齢医学会入会のきっかけ

 認知症は長い間「痴呆」と呼ばれていましたが、2004年に初めて「認知症」が公認されました。その頃日本抗加齢医学会から、認知症専門家として加わって頂きたいとお誘いがあり入会しました。入ってみると、学会では様々な先生が活躍されていて、組織の成長も目覚ましかったです。他の学会と違い、若い先生や多職種の会員が大勢いて刺激的、活力があって波及効果が大きいように感じました。異なる領域を学ぶことができて面白く、いろいろなことを勉強できました。私自身食事も気にかけたり、歌やダンス等普段の生活で楽しみや生きがいを見つけたり、アンチエイジングを実践しています。こちらも日本抗加齢医学会で学んだことが役立っていると思います。

若い人へのメッセージ

 私のウイルスベクターを用いたアルツハイマーワクチンの研究は10年ほど逆境に苦しんでいましたが、COVID-19ワクチンをはじめ遺伝子治療が認められるようになってきて、今は追い風が吹いているように感じています。やはり若い頃から勉強して何でも取り組んでいると、苦労も沢山あると思いますが、いつのまにか追い風が吹くのではないでしょうか。そして抗加齢医学も老いてから学ぶのでは遅すぎます、若いうちから取り組んでみて下さい。

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