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認定医療施設「三番町ごきげんクリニック」 アンチエイジングドック体験記Vol.2: 結果編

【体験者:Uさん(仮称)プロフィール】
・年齢  48歳
・勤務形態:デスクワーク
・平均睡眠時間:6~8時間
※以下はいずれも 頻度 内容 を記載してください。
・運動:毎日最寄り駅~自宅2キロを早歩き。週末登山、クライミング等を楽しむ。
・食事:朝食、昼食(お弁当)、夕食。外食は週末が多い。
・飲酒:なし
・喫煙:なし
・気になる点:40歳を超えてから乾燥肌(アトピー性皮膚炎)が酷くなった。これからも運動を楽しみたいのでパフォーマンスを維持したい。

 前回、採血・採尿と検体を採取し結果を聞きに再訪。
 どんな結果が出ているのか期待と不安が入り混じる。待合室で待っていると呼ばれたので移動すると澤登先生の手には多くの結果用紙が握られていた

 澤登先生:まず、一般的な健康診断的数値から見ると異常はほとんど見られませんでした。この数値であればA判定となるでしょう。ですが、抗加齢的な見方で見ると、様々な事が分かりましたのでこれからお伝えしていきます。

■栄養分析プログラム

 検査の時に「自分の弱点がわかる入口の検査」伺った検査。
  通常の人間ドックや健康診断の結果を膨らませ、ホルモンを診たり慢性の炎症の指標を診たり、それに対抗する力を診たりしている。

【私の全体的な評価】

▲タンパク質・ビタミンB群・ミネラル等が不足し、肝臓が疲労しやすい状態
・栄養代謝やエネルギー産生に必要なビタミン・ミネラルが不足している状態。
→非常にエネルギー産生の効率が低下している。(もしくはエネルギー消費が多い状態)
・一般的な解釈では基準値内ですが、やや肝臓が疲労しているパターンの数値。
・特にGTPが一桁の場合、エストロゲンの代謝が低下していることを示します。特にビタミンB群不足。
・ALP、フェリチン定値は亜鉛、マグネシウム、鉄などが不足している。
以上がベースとなり、ホルモンのバランスの乱れや、疲労、皮膚の不調につながっているようです。

《検査結果より》

■鉄代謝  フェリチン(貯蔵鉄)数値6.4 (基準値3.6~114.0 ng/ml)
血液学的検査数値は基準値内ですが、鉄貯蓄が異常低値。潜在性鉄欠乏症
皮膚症状(アトピー性皮膚炎)やエネルギー不足の要因。ミトコンドリアノパフォーマンスにも影響しますので筋肉の張りにも関連。病気ではないが、肉体的パフォーマンスの向上を求めるならば、鉄剤を飲むほどではないが、日ごろから鉄分を補うこと。鉄が過剰になると癌リスクも上がり悪い方向になりがちなのでむやみの摂ることはお勧めしない。が栄養分析結果より私は摂ることを積極的に勧められた。

【栄養分析結果①】
■肝臓機能 
GOT・GPTの低値かつ、GPT1桁はビタミンB6不足及び肝臓のパフォーマンス低下ビタミンB6はタンパク質。プレ更年期以降はホルモン解毒低下による乳がん・子宮がんのリスク因子となります。ALP低値は亜鉛・マグネシウムの長期的な代謝不良の指標。総タンパク、アルブミン、尿酸(UA)低値はタンパク質代謝不良。トレーニングや筋肉量の割に、タンパク質の摂取量が少ないのかもしれません。また尿酸低値はタンパク質や遺伝要因もあり、尿酸の低さは抗酸化力の低さを反映します。抗酸化力を充分に!

【取り組むべきポイント】
・ビタミン・ミネラル類は少量の不足ではなくても、慢性的に不足している状態が続くと皮膚や粘膜の状態やスタミナなどに影響する。
・特に貯蔵鉄が非常に低値で、スタミナや皮膚の健康に影響。
・食べている量や内容の問題だけではなく、ストレスや自律神経的に交感神経優位で、消費力の低下やエネルギー消費が多い事も要因。
・運動習慣があり、筋肉量が維持できているのは非常に良い点なので、運動負荷を消耗しすぎない程度にコントロールしましょう。

【対策のポイント】
●毎食のタンパク質・ビタミン・ミネラルの量を見直しましょう
●消化力を整えるよう、消化酵素・腸内環境ケアを行いましょう
●ストレスケアも重要です

【栄養分析結果①】

《評価》
・ホルモンバランスが低値

≪検査結果通知より≫
DHEA-s 101μg/dL (理想値250以上)⇒若さと修復のホルモン分泌不良
フリーテストステロン 0.5pg/mL
テストステロン 0.07μg/dL (基準値0.11~0.47)
GPT 9(基準値5~40U/L)
ストレスや炎症対処臓器である副腎の機能がやや低下。女性のテストステロン低下は副腎のパフォーマンス低下の指標。

【取り組むべきポイント】
 加齢に伴い生成力が低下する事もありますが、ストレス等で消費が多いとホルモンバランスも乱れます。テストステロンが低下していることも異性側のホルモン低下は副腎機能の疲労を示します。交感神経優位の時は血管が収縮し、血流が低下します。消化管など末梢の血流が低下するので消化力などにも影響します。
 プレ更年期としてのホルモンケアと、ストレスケアとしてのホルモンバランスのケアの両面から対策を行いましょう。脳疲労を抑える(マインドフルネス)・ゆっくり過ごすこと。
 GPTが一桁であることも、エストロゲン代謝の低下を示します。

【対策のポイント】
●基本的な栄養の補充継続⇒副腎機能が必要とする栄養素(オメガ3・マグネシウム・ビタミンC)を食事やサプリメントを摂る。マグネシウムは入浴剤(エプソムソルト)使用。※小麦・乳製品は避けましょう。
●副腎ケア⇒DHEA(マザーズホルモン)が低値。DHEAやコルチゾールを作る副腎が疲労している状態。脳の活動時間が長い場合や光や音なども脳が刺激と感じたものはストレスになり、ストレスに対応する為副腎に負担がかかるビタミンCやマグネシウムをしっかり補充すること。週に1度はデジタルデトックスを。
●エクオールなど⇒大豆製品を食べると腸内で大豆イソフラボンの一種が腸内細菌の力を借りてエクオールに変化。

《評価》
  抗酸化力が非常に低く、酸化が進行しやすい状態
  活性酸素によるさびつき度は低めですが、活性酸素に対する防御力も低め。現時点ではさびつきはすくなく悪くないが、抗酸化物質が低いため、環境が変わったときに病気になりやすかったり、抵抗する力が弱いです。

【栄養分析結果②】

≪検査結果通知より≫

■脂肪酸
・EPA  19.9μg/dL (基準値10.2~142.3)⇒炎症を抑えるオメガ3系の油が不足!!
・DHA 81.6μg/dL (基準値54.8~240.3)サプリメントや魚でしっかり補充を!
・EPA/AA比 0.10 (基準値0.05~0.61)⇒アレルギー(アトピー)等の炎症性疾患がある人は1.0以上を目指して食事の見直しを。

【取り組むべきポイント】
 酸化の進行は個人差があります。私の場合、抗酸化物質の摂取(色、香り、苦み等)が少ない、もしくはストレスや運動負荷などで消費が多いと考えられる。
 食事から摂れる量が少ないので、意識して摂る必要がある。必須ビタミンも抗酸化物質なので、ビタミンをしっかり摂ることも抗酸化対策になります。

【対策のポイント】
●抗酸化力のある食品の摂取⇒できるだけ毎日魚を食べましょう。油の減らしすぎもよくありません。脂質バランスからみてもオメガ3(魚油)が非常に不足しています。炎症の起こしやすさは細胞老化のリスクになります。細胞膜は脂質でできているため脂肪酸のバランスの乱れは炎症の起しやすさに影響します。
●サプリメント等で補充
●酸化しにくい生活(ストレス、睡眠、運動など)

■腎機能
クレアチニン 0.82H(0.47~0.79mg/dL)筋肉量が多いのでクレアチニンが高くなっているようです。腎機能は注意してみましょう。

【栄養分析結果①

【栄養分析結果②】

■毛髪検査
 必須ミネラル、有害ミネラルを網羅的に診て、肝臓の解毒、ビタミンの代謝、ストレスレベル、副腎やの脳への負担窓を診ることができる。老化の指標である酸化。酸化への対抗性が備わっているのか、足りないのか、どれくらいあるのかを診ている。

【私の評価】
▲有害金属がやや多め
・有害金属はエネルギー産生を阻害します。酸化を進め細胞の正常なターンオーバーの阻害、疲労、集中力などに影響。
▲必須ミネラル一部やや不足
・亜鉛やマグネシウムは新陳代謝に併せて消費が変わるので継続的に摂取。
▲ビタミン12代謝低下
・B12代謝がやや低下しています。B12を細胞に引き込む際に必要なリチウムも同時に接種。
▲肝臓の疲労がみられます

《対策》
①エネルギー産生が低目であることと関連している。まず必須ミネラルを十分に摂り生活習慣を作ること。
・エネルギー産生に必要な栄養素の補充を行う→ビタミンB群、亜鉛、マグネシウム、Q10、カルニチンなど
・肝臓・解毒ケア→①アブラナ科の野菜を1日200g以上を目標に食べる。②サプリメントで肝臓ケア→ビタミンB群、マグネシウム、亜鉛、セレニウムなど
・ビタミン12代謝サポート→ビタミン12、リチウムの補充

②抗炎症が必要
 炎症を抑えるオメガ3・ビタミンDが低値なので、食事・サプリメント」での摂取を心がけ維持する
 →ビタミンD4000単位を継続・高濃度ビタミンCの点滴療法・フィッシュオイルの摂取

③腸内環境ケア
【一般的な対策】
・グルテンフリー・カゼインフリーの食事を心がける
・シュガーフリー:砂糖・スイーツの多い食事は控えましょう
・食品添加物の多いもの(コンビニ食材・レトルト)はやめましょう
・水溶性食物繊維の多い食材を摂りましょう
・消化にいい食事のとり方の工夫をしましょう
・アルコール・カフェインなどの刺激物は控えましょう

④酸化・抗酸化力について
酸化は老化や様々な病気のリスク因子。毎日の食事のケアが必要
【一般的な対策】
・1日300~450gを目標に緑黄色野菜・アブラナ科の野菜を食べましょう。
 特にみかん、パプリカ、にんじん、かぼちゃなど。
・抗酸化サプリメントを摂る
・交感神経を抑制し、酸化を進めないようにする。

【毛髪検査結果①】

■遅発型アレルギー検査 
 igg抗体が過敏に反応することでいろんな免疫反応が起こる。一般的なフードアレルギーは食べてすぐ、または5分 10分と短い時間の中で蕁麻疹やアナフィラキシーなど反応するものですが、今回のアレルギー検査は数時間、数日後など時間がかなりたってから反応が出るものを診ています。慢性の不調があったときに、この遅発型の場合は、アナフィラキシーなどを起こさないので気づかないことが多い

【私の評価】
▲乳製品・オート麦に中程度の反応がでている。繰り返し同じものを食べるのは避けましょう。
・乳製品は繰り返し多量に摂取することは避ける。
・他の食品に関してもなるべく様々な食材をローテンションして食べること。
・特定の食べ物を避けるだけでなく乳酸菌、食物繊維を摂取するなど腸内環境を整えることも大切。

■有機酸分析
尿を調べることで腸内フローラの一部ミトコンドリアの代謝、エネルギー回路がうまく回っているか、脳の神経伝達物質とかを幅広く診ています。

【私の評価】
▲腸内環境
・腸内などに常在する菌やイーストなどが異常繁殖することで腹部の不快な状態、消化力低下などに繋がります。今回の結果では異常増殖している状態ではありませんでした。
▲ミトコンドリア機能(エネルギー産生)
・エネルギー産生回路に滞りがあります。回路が効率よく働くために、ビタミンB群、ミネラル類を摂取
▲神経伝達物質代謝
・ややドーパミン・セロトニン産生のバランスが乱れおり、ストレスケアが必要。
▲脂質代謝不良
・脂質代謝がやや低下しており、カルニチン不足と考えられる。
▲栄養代謝・解毒
・ビタミンB群が一部不足です。解毒に必要な物質の産生は問題ありません。
▲解毒に必要なグルタチオンが少なめです
・グルタチオンは加齢とともに生成力が低下するため、点滴などで補充

《対策》
 ミトコンドリアでのエネルギー産生の効率や脂質代謝などが低下しているサインがみられる。いずれもビタミンB群、ミネラル類の不足で起こること。様々な数値の乱れのベースになっている。

【対策のポイント】
●腸内環境のケア
 ・菌のエサとなりやすい、過剰な糖質を避ける
 ・乳酸菌など善玉菌の摂取
 ・にんにく・ハーブなど天然の殺菌剤役の食材を意識して摂る
 ・食物繊維の摂取(1日20g目標)
 ・よく噛む、消化酵素の使用
 ・自立神経ケア(腸蠕動のケア)
●エネルギー産生ケア
 ・エネルギー産生回路で消費するビタミン・ミネラルの継続的な補充
●ストレスケア
 ・栄養的にはドーパミン生成にかかわるビタミン類の補充、セロトニン産生に関わる腸内環境ケア
●脂質代謝
 ・カルニチン・B群などの補充
●解毒ケア
 ・グルタチオン補充。肝臓ケア

■口腔内を健康に維持しましょう(一般的なこととして)
 今回検査項目には入っていないが、口腔内の菌が腸内に落ちて定着することもある。口腔内と腸内環境は密接な関係がある。表面の掃除も大切ですが、酸素を嫌う菌が住み着く、歯周ポケットに認知症や心臓疾患、肺炎を引き起こす菌が多く、そこをケアすることが非常に大切。

■体組成計
【私の評価】
筋肉はよい状態です。なるべく必要なたんぱく質を摂取し、筋肉量を維持しましょう

【検査結果の感想】

 有機酸分析、腸内環境、脳、ホルモンなどの結果はそこまで悪くなく、酸化と炎症の予備力が少ないのと、根本的(基礎的)な栄養素の不足、ミトコンドリアのサイクルが良くなれば、パフォーマンスも向上するし、維持もできる。腸内環境がひどく悪かったりすると、食事の改善などやっかいになる
 私の場合、運動による消費が激しいのもあるが、ポイントが足りないものを補っていくと変わっていくし向上する。とてもシンプルでわかりやすい。血液検査だけでこれだけわかるのには驚いた。
 今まで対策をしていないのが恥ずかしい話だが、先生から「今まで対策をしていないならばまだ伸びしろはある。」と生活改善へのやる気につながる後押しも頂いた。
 健康診断で異常がなければそれで大丈夫と思っている人にとっては、不必要な検査かもしれないが、異常値が出るまで待っているのか?もっと今できることはないのか?ということが大事。
 ウェルネスの概念(健康を身体の側面だけでなくより広義に総合的に捉える)、オプティマスヘルスの概念(最善の健康)がある。
 医療に病気の治療を求める人にとってはアンチエイジングは興味のないものだったりする。ウェルネス、生活を見直すことで健康のレベルも高め上げることを目指す人だったり、治療以外にも生活習慣の介入を求めたり、オプティマスヘルスでそこに対して医療的にアプローチができる。点滴やサプリメントもその一つ。
 ウェルネスやオプティマスヘルスを求めたり、「健康」に対する意識が高い人にはアンチエイジングドックは試してもいいと思った。

 いきなり病気になっているのではなく、必ずそれに繋がる信号が出ている。生活習慣を改善することでその病気の発症を遅らせられる、変わるのであれば、まさにアンチエイジングドックは「転ばぬ先の杖」。血液採取をしたときに伺ったことが腑に落ちた。

 今回は初めてということもあり澤登先生や看護師さんのアドバイスを受け色々な検査を受け、細かく結果を出していただいた。「健康」というものに意識を向けるには充分で、受けてみてよかったと思った。
また行動を変えるには十分にわかりやすい説明を頂き、看護師さんにはそれを活かしてどのように生活に落とし込んでいけるのかという具体的なアドバイスを丁寧に伺えた。
 「自分の弱点がわかる入口の検査」の栄養分析だけでもかなりの情報が得られる。毛髪検査まで行えればかなり網羅できる。
 今後、自分のサイクルで検診してみるのもこれからは必要なのかもしれない。

【私に処方されたサプリメント】
サプリメント:目的
ビタミンD・オメガ3:炎症ケア
ビタミンC・マグネシウム:ストレス・副腎・ホルモンケア
Bコンプレックス・B12/葉酸・リチウム:ビタミンの補充として
乳酸菌・ミヤBM:腸の為に
カルニチン・コエンザイムQ10:エネルギーサポート
ミネラル(亜鉛・マグネシウム)、鉄剤ミネラルの補充

【食事】
糖質<タンパク質、野菜、キノコ、海藻、イモ類、根菜類などをまんべんなく摂取
魚を中心にできる限り毎食タンパク質を食べること
様々な食材を選ぶことでビタミン・ミネラルをなるべく多く摂取
フィッシュオイルの摂取
ビタミンC、マグネシウムの摂取

【生活】
エプソムソルトで入浴
十分な睡眠
マインドフルネス
定期的な歯科検診

【日常に取り入れたこと】
・1週間の内できる日を決める。いきなり変えると負担になって継続できない為、最低限出来る時間を作る。
  私の場合:夕食と空いている土日。
・繰り返し同じものを摂らないよう気を付ける。旬野菜も取り入れる。
・毎日魚が難しいならば、小魚を振りかけるなど、小さなことから始める。
・フライパンを以前使っていた鉄製も使う。
・検査後から、毎朝アマニ油を加えたフルーツスムージーを作って飲んでいるが、検査結果を踏まえ小松菜や青梗菜等、味に変化が少ない野菜も加えみた。
・みかんは万能ということで、昼食後用意できるときは食べる。
・平日は小麦製品、砂糖を意識的に減らす。休日は山行などで不規則になる為容認。
・不足しがちな栄養素は、サプリメントで補う。(鉄、ビタミンB群)
・毎日料理が負担になる場合は、スープ、煮物などまとめて調理。

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