認定医療施設「三番町ごきげんクリニック(千代田区)」 アンチエイジングドック体験記 Vol.3 コンサルテーション(炎症ケアを中心に)編
- 抗加齢医学の現場
- 2019年11月2日
「会社の健康診断とはまったく違った!」とアンチエイジングドック体験をレポートしてくれたA子さん。その体験記を「Vol.1 初診(問診・検査)編」からお送りしています。「Vol.2 コンサルテーション(酸化・抗酸化力)編」に続き、三番町ごきげんクリニック澤登雅一先生によるA子さんへのコンサルテーションのレポートをご紹介します。体の炎症ケアに関する先生のアドバイスを中心に、遅発性アレルギー検査の驚きの結果もお届けします。
**************以下、体験記*************
澤登雅一先生:「女性は40代を過ぎると『炎症のステージ』に入るといわれています。炎症は体調不良やがん・動脈硬化などの要因になりますので、身体の炎症をコントロールしていく必要があります。A子さんはまだ35歳とお若いですが、炎症の指標でもある『フェリチン(貯蔵鉄)』や『高感度CRP』がやや高値となっています。身体のためにも今から炎症のケアをしていくといいと思います。
澤登雅一先生:「炎症を抑えるには、油の取り方を工夫することが大切です。オメガ6系のリノール酸(サラダ油やごま油など)は過剰になると身体の炎症を助長しますが、不足もよくありません。適度な摂取を心がけてください。やや過剰ですので、外食の頻度を減らす、自宅で料理する際には、オリーブオイルを使うようにするなどの対策を取りましょう。一方、青魚・亜麻仁オイル・えごま油・シソ油などに多く含まれているオメガ3系の油は炎症を抑える働きがあります。現状不足していますので、これらをしっかり取ることで、油のバランスを整えていく必要があります。ます。」
澤登雅一先生:「炎症のケアのためには、ビタミンDの血中濃度を高く保つことも大切です。A子さんの血中25(OH)ビタミンD値は12ng/mlなので、日本の基準値はクリアしています。しかし、炎症を抑えるという観点からは全く不足していると言っても過言ではありません。ビタミンDは日光を浴びることによって体内で合成されますが、女性ですと紫外線による肌のトラブルも気になるところでしょうから、サプリメントで補充してもいいと思います。食事であれば、魚(ビタミンD3)や、きのこ(ビタミンD2)などに多く含まれていますが、ビタミンDのさまざまな効果はビタミンD3によるものなので、やはり魚の摂取を意識してみてください」。
仕事をしていると帰宅時間も不規則になり、つい外食も増えてしまいがちですが、炎症のケアにはオメガ3系の油の積極的な摂取が必要であることを知り、今後できるだけ外食の機会は減らしつつ、外食をする際には揚げ物や炒め物を取りすぎないように魚料理を選ぶなど、油のバランスを考えた食生活を心掛けようと思いました。ビタミンD不足も、お肉ばかりでなく積極的に魚を取り入れた食事をすることで、改善を試みたいと思います。
澤登雅一先生:「今回、酸化・抗酸化力精密検査と栄養分析プログラムに加えて毛髪検査を実施したことで、興味深い結果が見えてきました。A子さんが、動物性タンパク質をたくさん取っているにもかかわらず、重要な栄養素であるビタミンB12不足になっている理由です。消化吸収がよくないことも原因のひとつですが、じつはあるミネラルが関係しています。ちなみに、ビタミンB12が不足すると、動脈硬化の促進因子でもある『ホモシステイン』の代謝がうまくいきません。A子さんの『ホモシステイン』値も、通常の健康診断での基準値内ではありますが、アンチエイジングの観点で理想値とされる7.0より高いですね。
さて、毛髪検査の結果をみると、『リチウム』不足がしているようです。この『リチウム』が、ビタミンB12が体内で活用される際に必要となるミネラルです。つまりは、食事からビタミンB12を取っていても、『リチウム』が少ないとビタミンB12がうまく働かず、結果として『ホモシステイン』も増えてしまう、転じて動脈硬化のリスクも高くなってしまう、ということですね。単にB12が不足していただけでなく、効率よく働けない状態になっているということです。『リチウム』は、サプリメントや、小魚や海草を食べることで補えますので、取り入れてみてくださいね
水銀などの有害金属の蓄積もみられますが、特に治療の必要はありません。これらは肝臓で解毒されるため、肝機能を高めるとよいでしょう。解毒に重要なグルタチオンを豊富に含むアボガドやグリーンアスパラはお薦めです。ワサビやパクチーなども効果的です」。
もし、血液検査のみで分析していただいていたら、まずはビタミンB12摂取だけに取り組むことになっていたでしょう。そして、半年後に再度ビタミンB12の値を確認し、B12は増えていたとしても、うまく利用できていないことが分かった時点で、あらためて毛髪検査をすることになっていたかもしれません。最初の時点で、多角的に調べていただいたことで、手っ取り早くそして総合的に食生活の見直しができてよかったと思います。
澤登雅一先生:「遅発型アレルギー(IgG抗体)検査の結果に進みましょう。IgG抗体があること自体は異常ではありません。しかし、特定の食品に対して強く反応している場合、遅発性アレルギーを起こしている可能性があります。遅発性アレルギーは、食べてから数時間、数日後に現れるため、食べ物と症状のひも付けがしづらいといわれています。A子さんの、『疲れやすい』、『むくみ』、『だるさ』といった症状も、もしかすると遅発性アレルギーの現れかもしれません」。
澤登雅一先生:「さて、結果を見ると、いくつかの食材に強い反応が見られ、腸内環境が良くないことが分かります。個別に見てみると、卵と乳製品に強い反応が現れています。小麦・大麦や醸造用イーストにもやや強い反応がみられますので、主食はパンや麺類を控えて米中心の食事にし、お酒はビール・ワインなどの醸造酒ではなく蒸留酒にした方がいいですね。今後は、反応の強かった食材を繰り返し多量に食べる習慣は避けて和食を中心にバランスのよい食生活を心掛け、腸内環境を改善していきましょう」。
私は生卵が大好きで、よく卵かけご飯を食べていましたので、卵に強い反応が出たのは正直ショックな結果でした。毎日疲れが取れずに悩んでいた原因のひとつはこの卵にもあったのかもしれません。「卵は週に1〜2個程度に減らし、生卵はやめて加熱したものにするように」とアドバイスをいただきましたので、大好きな卵ではありますが、量を減らし別の食品でタンパク質の摂取を維持していこうと思います。
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