日本抗加齢医学会 2019年度第1回メディアセミナー開催報告 ①
- イベントレポート
- 2019年11月2日
伊藤 裕
慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科 教授
慶應義塾大学百寿総合研究センター 副センター長
日本抗加齢医学会 理事
第19回日本抗加齢医学会総会 会長
最新のデータでは、日本の高齢化率は27.7%であり、「超・超高齢化社会」が目前となっています。100歳以上の百寿者(センチネリアン)は約7万人、110歳以上の「スーパーセンチネリアン」は150人(2015年)とされています。
慶應義塾大学百寿総合研究センターによる解析では、百寿者にはがん、そして糖尿病が少ないことがわかっています。長生きするためには、糖尿病にならないことが重要だと言えます。
スーパーセンチネリアンは、みな幸せで、やわらかな雰囲気があります。「死ぬまで幸せ」が大事だと考え、私は健康寿命とは別の次元として、「幸福寿命」を提唱しています。人は1人では幸せになることができません。地域とのつながりがあるほど、健康度が高いこともわかっています。
腸内細菌は、腸内で直接神経に作用するとも言われています。最近我々は、母親の腸内細菌が胎児の腸内細菌に影響を及ぼしていることを明らかにしました。年齢を重ねると悪玉菌の割合が高くなっていきますが、百寿者の中には、大腸菌がほとんどいない方もいらっしゃいます。本総会の特別講演、実地医家セッションやシンポジウムで、腸内細菌と疾患などを議論します。
遺伝子プログラミングは、受精から1000日までに行われ、一生のほとんどを決めると言われています。病気になるずっと前の段階からの介入することが、これからは「ポジティブな医学」として重要と考えます。新しい医療職種や、自分で自分を診るマイドクター、AIなどが活躍するかもしれません。
さて、本総会のシンポジウムでも取り上げますが、アンチエイジングには、我々のエネルギーを作るミトコンドリアを鍛えることだと考えています。ミトコンドリアを強化するサプリメントとして、NMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)、5-ALA(アミノレブリン酸)があり、慶應義塾大学ではNMNの臨床研究を行っています。従来は、加齢によって起きる病気を、それぞれに対応する薬で治療していましたが、老化の原因がわかれば、ミトコンドリアを強化する1つの薬剤ですべての疾患に対処できるでしょう。
総会テーマの1つとして、ロボットも取り上げます。ロボットを介して15分間、誰かと会話をすることで、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制されました。慶應義塾大学病院には「アンドロイドアシスト」の内分泌外来があり、患者さんとアンドロイドとの触れ合いができていると思います。
林 香
慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科 助
本総会のランチョンセミナーでは、おいしさ、健康、見た目の色鮮やかさを兼ね備えた「異次元アンチエイジング弁当『美食の玉手箱』」を提供します。当教室の伊藤裕教授監修のもと、東京ミッドタウンクリニック・渡邉美和子先生がプロデュースし、3名の一流シェフとコラボした弁当です。健康に良い食習慣として注目されている「低カロリー食」「低糖質食」「地中海食」を日替わりで提供しますので、普段の食生活や患者さんの食事指導に役立つアイデアを実際に味わっていただけます。
渡邊 昌
生命科学振興会 名誉理事長
アジア太平洋臨床栄養学会 会長
玄米の健康効果や低糖質食、時間栄養学など、最近、栄養学に関していくつかの重要な論点が浮上しています。中には誤解されているものもあるので、本総会の教育講演では「最近のトピックと覆る栄養学の常識」をテーマに、それらを整理したいと思います。
本総会では、アジア太平洋臨床栄養学会(APCNS)とのジョイントシンポジウムも開催されます。その中でも、玄米の成分やその機能性などについて、アジアの研究者にお話しいただきます。
アジアの国々は日本より10年遅れて高齢化が進んでおり、日本がどのような対策をとるかを注視しています。またどの国も、肥満、糖尿病の増加などの問題を抱えています。肥満と糖尿病との関係については、日本人は欧州人と比べて、同じ程度のBMIでも糖尿病になりやすいことから、日本人に合った栄養学を作る方向で検討が進んでいます。
加齢で腎機能は徐々に低下しますが、特に肉食では急激に低下することが示されています。百寿時代で透析の導入を遅延するために、食事でコントロールする必要があります。透析患者の増加を予防する低たんぱく食について、東京医科大学の中尾俊之名誉教授にご講演いただきます。
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