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2022年度 第3回日本抗加齢医学会WEBメディアセミナー (2022年12月27日)ダイジェスト

講演1. 「環境因子がepigenetic 時計に影響している」

山田 秀和 先生
日本抗加齢医学会 理事長
近畿大学アンチエイジングセンター 客員教授

 老化は見た目が重要な因子であると、ほぼ確定しているかと思われます。実際に喫煙や紫外線、離婚歴や精神疾患を持つと、どうしても見た目は老けてくるということがわかっていますが、最近老化のペースは人によって違うということが明らかになってきました。

 重要な概念として“エクソポソーム”と“DOHaD”という概念があります。エクソポソームとは、皮膚の表面など外的曝露によって生体の中で反応として起こり、最終的に健康へ影響し、時間と共にどんどん足されていく、そういった概念です。内的要因としては、教育や精神的なストレス、あるいは都市と農村の違い、気候などが様々な健康に影響し、最終的には寿命にも影響しています。さらに放射線や感染因子、COVID-19や化学物質などがとても影響しているということであります。こういったものは、小さい受精の瞬間からこのような問題が影響し、母親の中~その後の初期の生児や乳児の段階で、既に大きな影響を与えるようになっていきます。一方、DOHaDは10年ほど前から重要な問題とされ、将来の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後直後にその環境がとても重要で、長い寿命、あるいは人生の疾患に影響しているのではないかという考え方です。

 例えば認知症の場合、リスク因子の6割は未解決ですが、残る4割の内訳を見ると、教育歴や喫煙、社会的孤立や抑うつ、さらに高血圧、運動不足、大気汚染、過剰飲酒、肥満など、エクソポソームに関係するようなもの、あるいは外部環境因子と呼ばれるようなものが大きな認知症のリスクになっているということが分かっています。そこから、暦年齢と生物学的年齢の身体を分けて考えましょうというのが、現在の考え方となっています。

講演2. 「今からできる子どもたちの健康寿命の延伸」

杉本 圭相 先生
近畿大学医学部小児科教室 主任教授

 “貧困”とよく言いますが、日本の相対的貧困は7人に1人と、非常に高い確率です。さらにOECD各国で調査をした結果、“I feel lonely“=孤独と感じているのは、日本が最も飛び抜けています。これを子供が感じているわけです。

 貧困という状態は、連鎖します。例えば、今はひとり親家庭が非常に多くなっています。結婚・出産後も非常に生活苦な状態に置かれる、すると子供が栄養不十分になり、成長や健康に悪影響を及ぼす状態が長く続きます。さらに勉強にも集中ができず、将来や進学をそもそも考える余裕すらない中で、不安定な仕事に就きがちとなります。勿論、全員がそうなるわけではないですが、そういった傾向がぐるぐると回っていきます。

 児童相談所が対応した児童虐待件数と、虐待死した児童数は、年々うなぎ登りです。虐待には、身体的虐待、ネグレクト、心理的虐待、そして性的虐待の4種類あります。身体的虐待においては、例えば厳しい体罰を受けていると前頭前野が委縮し、暴言を受け続けると聴覚野が肥大するというデータがあります。

 妊娠時における喫煙の影響では、胎生期は気管の形成に色々と反映をされる為、口唇口蓋裂の発症率が高まったり、乳幼児突然死症候群、気管支炎や気管支喘息など、そういった症状にも関与してくると言われています。

 非常に大切な概念として“逆境的小児期体験”があります。これには虐待や親の離婚歴など8項目あり、複数該当すると、将来的にうつ病やアルコール依存症、喫煙などの確率が高まり、高度肥満や薬物乱用にも繋がることがわかっています。

 成人になってからこのような問題に取り組み、予防を試みても遅く、小児期より取り組まなければ、このような事態は減らないのです。

 小児科学の守備範囲は、胎児期・新生児期・小児期・思春期、この辺りまでで終わりますが、思春期やその先を見据えたところは、我々はいま非常に大事だと考えています。

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