日本抗加齢医学会 2018年度第3回メディアセミナー開催報告① 眼抗加齢医学研究会・抗加齢歯科医学研究会 最新情報
- イベントレポート
- 2019年4月1日
Quality of Life という言葉は聞きなれたものですが、眼科領域にはQuality of Vison (QOV)という言葉があります。眼の奥にある網膜に病気が生じると、いくらメガネを調整しても見えなくなり、QOVである「視覚の質や感度」や「見える範囲」を低下させます。
網膜の中心である黄斑に生じ、加齢とともに進行する「加齢黄斑変性」は、50歳以上の人の1%以上が罹患しているとされます。相手の顔や新聞記事など、視野の中心の「見たいところ」が見えなくなるのが特徴です。
治療法はあるものの、元の見え方には戻らないため、予防が重要です。この病気の発症に関わる酸化ストレスを抑制する目的で、抗酸化サプリメントが応用され、継続摂取によって発症や進行を減らせるとのデータ(AREDS試験)があります。日本眼科学会も、AREDS試験に基づく抗酸化サプリメント(ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、ルテイン、ゼアキサンチン配合)を予防のために推奨しています。
ルテインとゼアキサンチンは食品に含まれる色素で、ホウレンソウやブロッコリーなどの食べものから摂取され、黄斑に取り込まれます。私たちの研究では、20代から加齢とともに黄斑色素の密度は低下すること、血中や食事中のルテインが少ない人は黄斑色素も低いことなどがわかっています。食事からの摂取が不十分な場合、サプリメントを活用するのも一つの方法です。
全身的な老化をきたす前に、口腔機能が脆弱になる(オーラルフレイル)とされ、滑舌の低下、食べこぼしなどは老化のサインです。口腔機能を維持・改善するのが歯科・口腔領域の医療従事者の役割です。
近年、齲歯は減少しているものの、歯周病が増加しています。歯周病はアルツハイマー型認知症、関節リウマチ、糖尿病など、全身の疾患と相互に関連することが明らかになっています。また、ストレスがかかると交感神経が優位になり、唾液の分泌量が減少しますが、これも歯周病のリスクと言われています。現代社会では、この歯周病のコントロールも歯科領域の重要なミッションと言えます。
一方、口腔内に生息する悪玉菌が腸内で増えると、潰瘍性大腸炎やクローン病を誘発したり、症状を悪化させたりすることが報告されています。ビフィズス菌の摂取によるアルツハイマー型認知症の発症抑制の可能性を示す研究もあります。腸内では善玉菌と悪玉菌が絶妙なバランスをとっていますが(腸内フローラ)、腸内に次いで細菌が多い口腔内でも、フローラを適正化することが今後重要になると考えています。
昨年、「口腔機能低下症」が保険傷病名として認められました。口腔全体の機能を向上させるための具体的な対処法についても本学会で検討していきたいと思います。
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