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2022年度 第4回日本抗加齢医学会WEBメディアセミナー(2023年2月21日)ダイジェスト

講演1.「第23回 日本抗加齢医学会総会について/産婦人科領域トピックス」

大須賀 穣 先生   東京大学医学系研究科 産婦人科学 教授

 今年の総会では、海外招請講演や会長講演の他、24のシンポジウムでは遺伝子や細胞など基礎的な問題から、臨床的な問題まで幅広く取り上げています。また、会長特別企画としてはシレク・ドゥ・ソレイユを貸し切り、皆で見るということをいたします。即ち、身体を動かすことが抗加齢に繋がる訳で、そのイメージと繋がる余興だと考えております。聞いて、見て、身体を動かして、抗加齢を勉強する総会にしたいと考えております。

 専門の産婦人科領域の話としては、日本の若年女性はやせが多く、20~29歳にBMIが18.5以下が多いというのは、先進諸国では極めて稀です。やせた女性は小さな赤ちゃんを産みやすく、早産にもなりやすいことがわかっております。やせた妊婦からは低出生体重児が生まれて、将来の高血圧・心臓病・糖尿病・骨粗鬆症といった病気にかかりやすく、すでに乳児のアンチエイジングは、子宮の中にいる時から展開すべき医療であります。

 最近は、妊孕性温存という言葉が出てきています。若年のがん患者さんが化学療法を受けられる時に、卵巣に障害が生じ、卵巣機能が廃絶する場合があります。そのため、卵子や精子、受精卵や卵巣を凍結しておき、将来戻して妊娠ができるということが、現実にいま起こっております。また、社会的適応として、キャリアを積む為に、若い女性が凍結しておくことが最近増えています。20歳で卵を取っておいて、45歳で妊娠すれば良いかと言うとそれは違いまして、妊娠はできますが、妊娠高血圧症候群の頻度が増えていきます。母体に明らかに負担が掛かっているわけです。40歳以上方が、妊娠糖尿病になる確率も高いということもわかっています。

講演2.健康寿命を100歳に延ばす~日常生活でのコツ~」

伊賀瀬 道也 先生
愛媛大学医学系研究科抗加齢医学(新田ゼラチン)講座 教授
愛媛大学抗加齢予防医療センター長

 平均寿命は非常に伸び、女性が88歳、男性は82歳ですが、基本的な日常生活がご自身で営めなくなりますと、健康寿命が終わったということになります。その年齢は女性が75歳、男性が73歳ということで、平均寿命と健康寿命の間が大きく、これが問題であります。

 健康寿命に関しては、血管年齢の重要性を考えております。血管年齢を若くするため、まず身体のサビ、コゲの話ということで、医学用語でサビは活性酸素となり、コゲは終末糖化産物=AGEsとなります。

 身体の中のサビで考えますと、これは細胞の中にあるミトコンドリアで、身体の中に取り込んだ酸素の90%を使って、エネルギーの酸性を作っていくと言われていますが、この時に使う酸素の2%ぐらいが不安定な活性酸素になってしまいます。この活性酸素が身体の中のたんぱく質や脂質などと反応し、身体の細胞を錆びさせ、細胞を老化させるということで、血管の老化に繋がります。

 65歳以上の高齢者になると身体の中では段々とコゲが生じます。コゲの重要な成分が、終末糖化産物=別名AGEsと言われる物質になります。このAGEsは、糖質過剰、脂質過剰、飲酒、喫煙など色々な条件で増え、様々な病気のリスクが上がっていきます。AGEsを増やさない生活習慣として、無理のない範囲の運動、タバコを吸わない、十分な睡眠、そして朝食を摂取することが非常に大事です。

 時間栄養学として、我々の体内時計のリズムは、実は24時間より15~30分ほど長いと言われ、これを長い生活習慣の中で24時間に合わせていると言われています。特に朝しっかりと目覚め、朝の光を浴びることで、脳の中枢系の体内時計を合わせることができ、朝ご飯を食べて、午前中にしっかりと体を動かすということで、体内時計のリズムが合うと言われています。

講演3.骨粗鬆症についてのトピック」

中村 幸男 先生   信州大学医学部整形外科 特任教授

 骨粗鬆症というのは、リウマチや心筋梗塞などのように、家族性の遺伝、体質性の遺伝が重要です。80歳の女性の方で、特に大きな病気の無い方が骨粗鬆症を発症する場合、閉経後の骨粗鬆症、あるいは乳がんなど何かご病気があって二次的に発症する場合は、続発性の骨粗鬆症という訳ですが、特のこの閉経後の骨粗鬆症の場合、この娘さんとそのお孫さんまで遺伝がしやすく、大体76~77%で遺伝します。ですから、そういう患者さんがいらっしゃれば、その娘さんとお孫さんまで骨密度、あるいは問診を行って、できるだけ早くスクリーニングし、将来的に薬を使わなくてもいいような対策をする、これが骨折一次予防となり、重要だと思います。

 ビタミンDは、ほとんどの女性が不足しています。これが足りないと、いくらカルシウムを摂っても、尿中に排出されてしまいます。ですから、ビタミンDをしっかり摂ることが重要ですが、摂取には干したシイタケが良いです。生のシイタケを干すと、25倍ほどビタミンDの量が増える訳です。

 ビタミンKは、骨をしなやかにするビタミンで、骨と言うのは基本的には構造物に見えますが、スカスカの構造をしています。そこをポツポツ埋めていくのが、ビタミンKの作用です。摂取に一番良いのはひきわり納豆で、対グラムあたりの吸収率が高く、納豆菌も多いからです。

 骨を鍛える為には、足を鍛えることも重要で、筋肉が鍛えられれば骨も自然にある程度丈夫になります。骨粗鬆症の薬物治療は、ベストな治療をしても60~65歳までで、残りの30~40年は、体操と食事など、いかにベストなものをご指導するかが重要です。

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