2020年度第2回日本抗加齢医学会 WEBメディアセミナー報告
- イベントレポート
- 2020年8月12日
◇日時:2020年8月5日(水)15:30~17:00
◇会場:WEB
◇内容:
1:ゴースト血管は万病のもと~認知症予防のコツ~
伊賀瀬 道也(愛媛大学大学院医学研究科抗加齢医学講座 教授、愛媛大学抗加齢予防医療センター長)
2:COVID-19と唾液腺 ~重症化予防のための新たな口腔ケア
阪井 丘芳 (大阪大学大学院歯科研究科高次脳口腔機能学講座顎口腔機能治療学教室 教授)
3:新型コロナウイルス感染のファクターⅩを考える
内藤 裕二 (京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学 准教授)
「ヒトは血管とともに老いる」という医学の格言がありますが、健康長寿を目指す抗加齢医学(アンチエイジング医学)はまさに血管の老化との戦いです。血管の老化を予防して若い血管を保つことは、「老化の予防」や「病気の予防」につながり、最終的に健康長寿が達成されることになります。
最近、血管の中でも大動脈のような大血管ばかりではなく小血管、とくに「毛細血管」に注目が集まっています。毛細血管はその名の通り数ミリメートルの小さい血管ですが、血管全体の約99%を占めることから、毛細血管が衰えて消失する「ゴースト化」がおきると、脳を含む各種の臓器に酸素や栄養が適切に行き渡らず、脳卒中、認知症などの怖い病気を招くリスクが高まることが近年の研究で明らかになってきました。
COVID-19 (coronavirus disease 2019)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる感染症である。
本疾患は、2019年12月に中国の湖北省の省都である武漢で最初に特定され、その後世界的に広まり、2019年から2020年にかけてパンデミックが進行している。
急性呼吸器疾患であるが、感染者が味覚や嗅覚を失ったとの報告が世界各地で見られる。普通感冒でも味覚や嗅覚が一時的に失われる事はあるが、新型コロナウイルス感染における味覚や嗅覚の麻痺が、ふつうの感冒とは異なる性質をもつのかどうか、世界の50か国にまたがる約600人の医師や科学者が国際コンソーシアムを結成し、日本を含む各国で調査を開始している。
そこで、COVID-19と口腔領域との関連性を調査していると、COVID-19の無症候性感染患者の口腔のリスクについて重要な研究が報告されている。原因ウイルスであるSARS-CoV-2感染における口腔粘膜の役割が当初から注目されてきたが、無症候性感染の状態における唾液腺への影響は示されていなかった。口腔領域における問題として、小唾液腺とSARS-CoV-2との関連性、さらに、感染経路や感染パターンを理解しながら、口腔からの感染制御の方法とその問題点について説明された。
SARS-CoV-2ウイルスによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界中に拡大し、われわれの日常、臨床、研究、教育を激変させた。COVID-19の予防、治療、重症化阻止、ワクチン開発において免疫の考え方は重要であり、さらに全身の免疫、肺の免疫に対して消化管の果たす役割が明らかとなってきた。セミナーでは「免疫」を切り口に、COVID-19を考え他知見を紹介した。西欧諸国に比べても日本人のCOVID-19による死者数は少ないが、その要因について考えることは、COVID-19長期化に備えたヒントとなるのではないか。
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