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日本抗加齢医学会 2019年度第1回メディアセミナー開催報告 ②

2019年5月27日(月) 14:00-15:45
日本橋ライフサイエンスビルディング201 会議室
主催:一般社団法人 日本抗加齢医学会

ゲノム医学とアンチエイジング―epigenetic clock

山田秀和
近畿大学奈良病院皮膚科 教授
近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長
日本抗加齢医学会 副理事長

昨年来、米国の基礎研究者の間で「加齢を疾病として治療する」という概念が共通認識となり始めており、老化の治療を解禁するようにFDAに求める動きもあります。

今年5月には、WHOが定める国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)に、aging-related diseasesというサブコードが認められました。治験の実施を当局へ申請する際にもICDのコーディングが必要なので、臨床医や行政のアンチエイジングに対する理解が、特に米国で加速すると予想しています。

私は従来から、アンチエイジングには運動、食事、精神、環境という4つの要素が必要だと考えていますが、それらに加えて「治療薬」の可能性が出てきたのです。実際には、治験をして承認されるまでに時間がかかるでしょうが、メディアの皆さんもぜひ追いかけてほしいと思います。

 治験をするとしたら、効果を測る「ものさし」が必要となりますが、それを考える上で、「暦年齢」「生物学的年齢」「エピジェネティック年齢(epigenetic clock)」という概念が重要です。

生物学的年齢は、「骨年齢」など、老化の度合いを定量的に表すものです。人は生まれるタイミングにもバラツキがあり、従来の暦年齢以外の評価軸も重要だという考えの中で提唱されました。

エピジェネティック年齢は、DNAの化学修飾(メチル化)が老化に関わっているとの考えに基づき、DNAメチル化レベルをもとに算出されるものです。遺伝子をオン/オフするスイッチのセットで、生物学的年齢と相関することがわかっており、BMIや年齢関連疾患との相関も研究されています。

例えば、エピジェネティック年齢が暦年齢よりも10歳進んでいると死亡リスクが48%増加する、5歳若いと18%減少する、といったように、DNAメチル化の度合いによる死亡リスクの数値化が可能になっています。

 本学会は、学会に所属する医師ら自身が全ゲノム解析を受け、アンチエイジング研究に役立てる「アンチエイジング全ゲノム解析」プロジェクトを開始しました。ゲノム解析に加えて、日本人のエピジェネティック年齢(遺伝子時計年齢)も作成する計画です。

また、本学会の9つ目の分科会として「抗加齢ゲノム医学研究会」を立ち上げ、2019年12月21日に東京で第1回研究会を開催します。

第1回ヘルスケアベンチャー大賞 ファイナリストと最終審査のご案内

太田博明
藤田医科大学病院国際医療センター 客員病院教授
山王メディカルセンター・女性医療センター センター長
日本抗加齢医学会 理事/広報委員会 委員長

「医学会からイノベーションを」をテーマに、抗加齢(アンチエイジング)に資するヘルスケア分野のビジネスプランを募集した第1回ヘルスケアベンチャー大賞の最終審査と授賞式が6月14日、本総会会場で行われます。

全応募26件のうち高い評価を得た6件がファイナリストです。
http://www.ko-karei.com/healthcare-v/

当日はこの中から、イノベーション大賞(100万円)、学会賞(30万円)を決定します。最終審査は、ファイナリストのプレゼンテーションを聞いて行う「ピッチコンテスト」です。ファイナリストのビジネスプランを特設展示するコーナーもあります。

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