アンチエイジング医学(抗加齢医学)とは

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なぜ、今アンチエイジング(抗加齢)医学なのか?

💛平均寿命の延長

日本人の平均寿命は、1945年のおよそ50歳から、30年後の1985年におよそ80歳へと延伸した。その後も平均寿命は伸び続け、2021年の平均寿命は84.3歳。もちろん世界一である。
男女でみると、1980年の平均寿命は、女性78.76歳、男性は73.35歳。これが2000年には、女性84.60歳、男性77.72歳。2021年の日本の平均寿命は女性87.57年、男性は81.47年である。
20年で女性は3歳、男性は4歳延びている。
更に100歳以上の人口が、右肩上がりで、老人福祉法が制定された昭和38年(1963年)は153人。それが2022年は、90526人。(男性10365人、女性80161人)50年余で500倍。
ちなみに、女性75歳の平均余命は、16.08年。男性75歳の平均余命は12.42歳。
これは世界一で、先進諸国の中で最も顕著であるが、背景には日本の医学の進歩、衛生環境の改善、医療の発達、栄養の改善、教育、経済の発展などの恵まれた多要因が影響している。

平均寿命の推移

100歳以上高齢者数の推移

ちなみに、世界に目を向ければ、WHOに加盟している183の国と地域の平均寿命は72.53歳。
歴代1位の最高齢は122歳164日の記録を持つフランスのジャンヌ・カルマンさん(没年1997年)。

では何が問題なのか。

◆ 平均寿命と健康寿命の差が大きい
◆ 少子化
◆ 社会保障費の増大
◆ 高齢者の問題

寿命だけが延びたところで、ずっと寝たきりでは「生きがいを感じられない」QOL(クオリティオブライフ)が低いと思う人も多い。この「平均寿命と健康寿命」の差を、できるだけ小さくすることが大切ではないか。

平均寿命と健康寿命の差_2019年

平均寿命の伸びを上回る健康寿命の延伸、即ち、健康寿命と平均寿命との差を縮小することが重要となる。国は、「健康日本21(第二次)(第三次)」や「健康寿命をのばしましょう。」をスローガンとする国民運動「スマート・ライフ・プロジェクト」「健康寿命延伸プラン」などで健康寿命の延伸を強調しているが、重要なのは平均寿命と健康寿命の差を縮小すること。これには、エビデンスに伴う施策が必要となる。

また、「少子化」という課題を抱えている。
日本の出生率は、2023年2月28日に発表された「人口動態統計速報(令和4年(2022)12月分)」によると、2022年の出生数は79万9,728人(前年比5.1%減)と過去最少で80万人を下回った。これは1899年の統計開始以来はじめてのことで、国の推計よりも10年ほど早い。このままのペースで少子化が進めば、経済規模縮小や労働力不足、社会保障制度はもちろん、国家財政の維持が厳しくなるのも早まってくる。
出生率低下に伴う労働力人口の減少によって、労働力不足が進んでいく中、高齢化が進む日本では、高齢者への福祉や医療の需要増加に伴う人手不足が深刻な問題になる。

出生率推移

人口ピラミッド

そして、寿命が長くなれば、「社会保障費の負担」は大きくなっていく。
平均寿命が延びれば延びるほど、「多くの高齢世代を少ない若者世代が支える」という状況が生まれてくる。

国民負担率の推移

「高齢者の問題」とは

高齢者自身が抱える問題も多い。昔は無事に定年を迎え、楽な余生を過ごしていたが、今や仕事から引退したあと、まだまだ元気なのに、仕事ができない。そして「老後」の生活費をどう工面するのか、悩む人も増えている。経済的に不安定な高齢者が増えれば、さまざまな社会問題を引き起こす可能性がある。
少子高齢化と聞いて、社会保険料の負担や将来もらえる年金について不安もある。
実際、1950年には、65歳以上1人を支える現役世代の人数が12.1人であったが、少子高齢化により2020年では2.1人にまで減っている。
支える側と支えられる側の人口の偏りが大きくなることで、年金や医療、介護などの福祉、社会保障が懸念される。
少子化によって労働力人口が減り、2010年代には米国の7割ほどの水準にあった一人当たりの実質GDP(国内総生産)は、2050年代には米国の6割程度まで低下するといわれている。人口減少が継続し生産性が停滞した場合には、マイナス成長となる。

これらの問題を解決するに、医学的エビデンスとして、アンチエイジング医学は大きく貢献できると考えている。
  
そして、65歳が高齢者と呼ばれるような定義そのものが改定され、健康な65歳以上の層が厚くなれば、社会の第一線で活躍し、納税者層となる社会が来るかもしれない。この「かもしれない」ことを支えるのが「アンチエイジング医学」である。そして今、医師、医療従事者のコンサルテーションを通じて、自分自身の老化と寿命に対して予防・ケアをすることに、社会からのニーズが高まっている。
アンチエイジング医学は、“加齢”に焦点をあてた予防医学である。予防医学を考えるときに最も中心的な医学となる可能性を秘めている。

アンチエイジング医学は加齢を対象に「メカニズム解明型」から「臨床応用型学問」へ進化をしている。

加齢に伴う疾病を予防し、人生100年時代の人生設計にアンチエイジング医学を実践することで、長生きリスクの対策を!


いきいきと自立した生活ができる健康寿命に重要なこと

遺伝情報が共通する一卵性双生児でも寿命が異なることなどから、老化の進み具合は遺伝的要因が2~3割で、7~8割は生活習慣も含めた環境要因とわかっています。われわれの研究でわかったアンチエイジング(抗加齢)で重要なのは、

① 生活習慣病の予防 
② 適切な運動 
③ 適切な栄養 
④ 過不足のない睡眠 
⑤ 免疫力をあげる 
⑥ 前向きな気持ち「ポジティブシンキング」 
⑦ 人や社会とのコミュニケーション 
⑧ 環境


などです。これらを若い うちからコントロールすることはとても重要です。

アンチエイジング医療とは 予防医療・未病医療・先制医療への応用

● 専門領域を超えて患者さんサポートの必要性に応える
● スポーツ/栄養指導/サプリメントなどを活用した補助的かつ積極的な人々の健康生活への介入
● 患者さんの健康意識向上へコミット
● 患者さんの選択的予防行動をサポート
● 笑顔を生む毎日を医学から支える
● 併存疾患を包括的に診る


専門領域とアンチエイジング医療対策・疾患等