加齢黄斑変性(AMD)への抗加齢医学的アプローチ
加齢黄斑変性(AMD)は欧米に多い病気で、アメリカでは全人口の約1%が罹患し、
65歳以上の中途失明の原因の第一位となっています。
日本では、ライフスタイルの変化、とくに食生活が欧米化に伴い、
AMDの患者は増えていくことが予想されています。
日本での現在の治療の主流は「光線力学的療法」であり、2004年5月に
厚生労働省が認可し、健康保険が適応になっています。
AMDは、臨床研究および疫学調査から遺伝的素因と環境因子が発祥に重要ですが、
その中でも、特に酸化ストレスがその発症に関与することが考えられています。
したがって、酸化ストレスを除去するための、予防および治療の開発が必要となるでしょう。
実際に米国で行われた臨床試験(AREDS)では、ビタミンC・E、ベータカロテン、
酸化銅、酸化亜鉛の大量内服がAMDの発症予防および視力低下の予防に
有効であることを示すデータが出ました。
この事実は、AMDの発症には、酸化ストレスが関わっていることを裏付けています。
また、ドルーゼンといわれるAMD初期の病変には酸化修飾されたたんぱく質を
含んでいるので、ドルーゼンの段階で網膜にかかるフリーラジカルによる障害を
除去するような治療法も有効と考えられます。
剖検眼の研究では、AMD患者の色素上皮には、鉄が大量に沈着していることが
示されました。鉄はフリーラジカルの強力な発生源であるため
重金属を排出させるような治療法も有望であると考えられます。
AMDへのより積極的な予防的アプローチを本研究会では引き続き検討してまいります。