6月6日
アジアに欠かせない主要な学会に発展させて行くために
5月25日~27日の第18回日本抗加齢医学会総会は 6037名の参加者数があり、大変賑やかで活発な大会でした。準備をされてきた大会関係者の皆さん、本当にご苦労さまでした。
ところで最近常々思う事があります。 現在多くの日本の学会は年次大会を日本語で行っています。これまではアジア諸国の中で、日本は医学・生物学において中心的役割を果たしてきました。しかし、この数年で状況は急変していると感じています。 私は今年3月に、タイの皮膚科学会総会に招待され講演してきましたが、その時、驚いたのは、すべての講演が英語でなされていたことでした。理事長に聞くと、5年前に招待講演だけでなくすべての講演を英語発表に切り替えた とのこと。その目的は、アジアの多くに国に参加を呼びかけることで、親睦を深めながら一層充実した国内学会を目指しているとうことでした。
欧米からの招待講演、タイの発表に対してフロアーからも結構多くの質問が英語でなされていました。なんだか、日本だけが取り残されそうな感覚でした。アジア諸国の臨床医師の実力と活発さは全く違ってきました。素晴らしい勢いで医学をはじめ科学は進歩していると感じました。 シンガポールはもちろんのこと、中国、韓国、台湾もその傾向にあると聞いています。現在のわれわれの学会プログラムでは、大勢のアジアの方の参加は期待できないのではないかと思われ、そのために新たな取り組みを真剣に話し合うことが必要です。
これまで通りのプログラムの隙間に、英語のセッションを設けるだけでは、多くのアジアの医師・研究者の参加を期待するのは不可能に近いと考えます。真の国際事業として、アジアの主要国に積極的に働きかけ、年次大会での英語のセッションを大幅に増やす努力・工夫は必要と考えております。
特別講演、教育講演などはもちろんのこと、少なくとも2会場以上、毎日終日英語でのセッションを組むのが一つの方法かと愚考しています。 将来、学会の発展には、日本抗加齢医学会をアジアに欠かせない主要な学会に発展させていくべきではないでしょうか。観光だけでなく、素晴らしい歴史がある医学界も、インバウンドし、世界基準のコミュニケーションを図る時代だと思うのです。
市橋 正光 アーツ銀座クリニック院長、神戸大学名誉教授
5月15日
2つのNEWSに 抗加齢医学を考える。
2018年5月11日に2つの対照的なNEWSがながれた。1つは、大変ショックな出来事であった。オーストラリアの104歳の生物学者グッドオールさんのことである。生きてゆくのが楽しくないとしてスイスでの安楽死を選ばれた。 抗加齢医学を勉強している身としては、健康長寿で120歳を目指そうと言っているが、人生の先輩の科学者が100歳を過ぎる頃から楽しくなくなったというインタビューはショックであった。その結果、死を選ばれたということで衝撃を受けた。その直後である、マレーシアの首相にマハティールさんが92歳で再登場したことだ。現在では世界で最高齢の首相ということになる。マハティールさんは、1964年医者から政治家に転向し、81年から22年間マレーシアの首相であった。
見た目の領域についての詳細は18回総会のおりにでも解説するとして、少なくとも、テレビやinternetで観る映像では、若々しく見える。これからのマレーシアをさらにどうかしたいという気概、使命感があるように見えた。この2つのニュースは、今後の抗加齢医学にさらなる課題を突きつけていると思う。 1990年代、マイケル・ジャンセン先生がビタミン革命の著書を出された時、「アンチエイジングはどのようにして死ぬかを研究する学問だ」と、よく私達に講演の冒頭に言われていたが、ますますその重要性がわかってきた。 先人達は、人類の進歩に伴い哲学で説明してきたことを科学として説明できるように進歩させて来た。我々の勉強している抗加齢医学も、老化を哲学や宗教から解き放してさらなる進歩に結びつけて行けるようにできるのだろうか?幸福の追求を目標にして、より大きなテーマに直面することになろう。
アナウンスメント 医療法改正に伴う広告宣伝規制 について
6月1日から施行の”医療法改正に伴う広告宣伝規制”について、先だって厚生労働省で日本抗加齢医学会としてお話を聞いてきました。最も重要なポイントは、HPの扱いで、適切な情報を消費者の観点で対応すべきとのことです。詳細は、第18回総会で、5月26日(土)10:00~10:30教育講演の中で大慈弥裕之先生、5月27日(日)13:20−14:20総会緊急企画で斉藤健一郎弁護士に、それぞれご講演をいただき、学会員に周知徹底を図りたいと思います。
第18回日本抗加齢医学会総会の案内
第18回日本抗加齢医学会総会が近付いてきました。medical tribuneでも、日本抗加齢医学会が取り上げていただいています。
<http://www.mediproduce.com/18jaam/>
今回、テーマにさせていただいたのは、環境です。抗加齢医学では予防医学、横断的、実践的であることを柱としていますが、 従来の運動・食事・精神の3本柱では対応が十分でないと考え、環境を第4の柱とすべきと思っています。
近畿大学にアンチエイジングセンターを作っていただき10年となり、アンチエイジングは、受精の瞬間から始まると考えるようになりました。DNAの重要性は当然ながら、遺伝的因子より環境因子がより重要と考えられつつあります。運動・食事・精神・環境が、エピジェネティックな調節でコントロールされることが明らかにされつつあります。環境因子の 重要性を皆さんと考えて見たいと追います。今までつながっていなかった建築と健康という領域も機能性表示に手がとどく時代が来そうです。さらに人生100年時代は我々はどのように過ごせばいいのか、環境という意味では人とのつながりや金融老年学も少し勉強して見たいと思いいくつかのプログラムを加えることができました。抗加齢医学のさらなる発展のきっかけになればと思います。
さらに、この観点で、抗加齢協会とジョイントして、2025年のEXPO Osaka 2025を目指して、健康都市宣言もしたいと思います。 多くの方がご参加いただければ幸いです。
山田秀和 近畿大学アンチエイジングセンター
2018年4月25日
4月25日は DNA DAY !!
ジェーム スワトソン、フランシス クリック、がDNAの二重螺旋構造についての論文をNatureに論文(*)を発表した。 この1953年の日(4月25日)を記念して、DNA DAYとしている。 2003年には1回限りの祝日として米国の上院と下院でも祝われたという。2003年以降、米国ヒトゲノム研究所(NHGRI)が主催で4月25日を中心にDNAについてのイベントを行っており、国際的なネットワークで、多くの方にDNAとの付き合い方をしってもらう運動を行っている。
日本抗加齢医学会も、ぜひDNA DAY を祝いたい。
DNAを知ることで、我々自身を知り、うまく対応する(運動・食事・精神・環境)ことで、健康寿命をのばしたい。 DNAトレーナーを目指そう! なお、ワトソン先生 (1928年4月6日 生)は、老化のメカニズムに大変興味を持たれており、2009年から、AGINGSCIENCES TM -Anti-Aging Fire wallにA weblog on the sciences and practices of living healthily very long – perhaps hundreds of years. としてブログで、現在の老化関係の論文を考察されており、大変勉強になります。
*Molecular Structure of Nucleic Acids: A Structure for Deoxyribose Nucleic Acid J. D. WATSON <https://www.nature.com/articles/171737a0#auth-1> & F. H. C. CRICK <https://www.nature.com/articles/171737a0#auth-2> Nature 171, 737–738 (25 April 1953
山田 秀和 近畿大学アンチエイジングセンター