本学会について

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理事長から/組織図/会員数推移/設立趣旨

理事長からのご挨拶

 日本抗加齢医学会の理事長に再任されたことを報告します。2021年の就任時に「老化は病」という立場を明確にしました。今後の2年間は、“長寿科学の進歩を社会に広める”ことを提言します。アンチエイジング医学では、老化のメカニズムを学び予防医学を進めてきましたが、さらに老化治療にも取り組む予定です。老化の計測と方法の標準化を準備し、長寿やアンチエイジングの理解を深め、老化を防止・逆転する治療の経済的価値についても推計を行います。長寿科学の進歩を社会に広めるため、十分な議論が必要です。

 アンチエイジング医学は健康寿命の延伸を目指す医学であり、さらに真の若返りを目指しています。健康寿命の延伸には運動、栄養、精神(脳・睡眠)面の改善が中心でしたが、2015年には環境も重要視されるようになりました。2021年からは治療が健康寿命の延伸に関連して議論され、“老化を病”と捉えるようになりました。ICD-12(2050年策定か)の基本コードに老化が含まれるように学会として努力します。もちろん、健康寿命の延伸のためのライフスタイル改善を勧めるよう活動してゆきます。

 老化の概念の大きな変化は、老化の情報理論の確立です。老化の機序がわかり始め、老化は「経時的な転写ネットワークとエピジェネティック情報の損失による」という情報理論で説明されつつあります。Epigenetic clockを使用すると老化の速度を知ることができ、老化速度を調節する治療も可能と考えられています。AIの発展により、生物学の物理化と数学化と情報理論とアルゴリズムでの理解が進み、老化や寿命を理解する時代となりました。

 私たちの学会では、抗加齢医学専門医や指導者の育成に取り組み、正しいアンチエイジング医学の普及に努めています。
今後は、超高齢社会の日本で“老化を病”として治療したり、”若返り”をすることが適切かどうかについて、広く国際的な一般社会との議論を進める必要があります。教育の重要性も増しており、社会的な一般常識や倫理観に基づいて議論を進めるべきです。私たちの学会は、今後は「暦年齢を生物学的年齢で考えよう」というメッセージを2025 Osaka-Kansai EXPOの大阪パビリオンで世界に発信し、2050年の社会を若者たちにも考えてもらいたいと考えています。社会経済的な問題も含めて積極的に社会との対話を行いたいと思っています。

 追伸
最後に、会員1万人を目指しております。皆様のご協力をお願いします。

2023年7月
一般社団法人
日本抗加齢医学会 理事長

近畿大学アンチエイジングセンター
近畿大学医学部 客員教授


組織図


会員数推移

設立趣旨

2001年日本抗加齢研究会設立時には、すでに予見されていた超少子高齢化社会と老 人医療費の増大。 国民皆保険制度を有する我が国の福祉政策は、いずれその転換を迫 られるといった状況でありました。 そのような中、医師ならびに医生物研究者らが中 心となって設立した目的は、加齢現象や老化の研究が進む中、 老化の病的プロセスを 予防する抗加齢医学を積極的介入する方法を基礎医学的、臨床医学的に追求して実践 することにより、 生活者のQOL(Quality of Life)の向上を図る。 そして抗加齢医 療の提供により健康長寿を国民が享受し、老人医療費増加度の抑制、生産人口年齢の延 長、 労働力の確保といういわば国家戦略的な目的であります。 医学界ならびに社会 で認められるために、抗加齢医学に関する正確なデータを集積し、正しい情報を伝え、 科学的根拠・事実に基づいた医療としての確立を目指していくと同時に、人々に受け入 れられる医療となることを目指し活動を続けてまいります。

抗加齢(アンチエイジング)医学の独自性

1、健康寿命を延長するための予防医学・健康寿命を延伸する医学
抗加齢医学の研究は、出生から死亡に至るまでの様々な過程で生じる現象を科学的に 捉える上で、 非常に有意義でありその成果は生活習慣病をはじめとする様々な疾患を 予防し、ストレスや疲労、 免疫低下などの疾病発生促進因子を改善し、健康長寿を享 受することを目指す理論的・実践的科学であり、 これこそが抗加齢医学の定義であり ます。そして抗加齢医学的に重要なのは長寿の質です。 高齢者のQOL(Quality of Li fe)を向上には、アンバランスで病的な老化を早い段階から積極的に予防し、 健康寿 命を延長することにあります。

2、学祭的に捉える学問
抗加齢医学の独自性はこれまでの治療医学にみる縦割りの隔てを取り除き、多領域に わたる横断的、 集学的に研究することにより老化の関連性を把握できるにあります。  抗加齢医学の研究は、遺伝子や細胞レベルから動物やヒトの個体レベルまで幅広く、 生化学、生理学、 臨床医学など複数領域の医学にとどまらず、化学、物理学、農学、 薬学など他分野に係っています。 一方で実践は、栄養学、内分泌学を用いた補充療法 と運動・休養などの生活習慣の改善によって老化をどのようにコントロールできるかにあるのです。

3、生活者に積極的に行動変容を起こす医学
人は誰でも健康長寿を望んでいます。これまでの病気を治す医療から、老化による疾 病を予防し、健康寿命を延長することは、 人々が受け入れやすく、生活習慣の改善など 積極的な行動変容を起こす医学となりえます。


理事長 記事

■2023年6月10日 第23回日本抗加齢医学会総会
 理事長提言 暦年齢から生物学的年齢へ 
 講演内容はこちら(PDF)(動画)から

■2022年6月18日 第22回日本抗加齢医学会総会
 理事長提言 老化治療のための戦略を考える 
 講演内容はこちら(PDF)(動画)から

■2021年6月26日 第21回日本抗加齢医学会総会
 理事長提言 次世代医療はさらに個別医療に。 個別医療を支えるのはゲノム情報 
 講演内容はこちら(PDF)(動画)から

■朝日新聞 Reライフ

・朝日新聞 2021年3月14日 朝刊 (朝日新聞社に無断で転載することを禁じます)
・承諾番号 21-1201

■2020年9月26日 第20回日本抗加齢医学会総会
 理事長提言 抗加齢医学の地平を開く 
 講演内容はこちら(PDF)(動画)から

■2020年3月30日 読売新聞朝刊(全国)10面
 企画広告 免疫力をアップし、健康を維持!
 掲載内容はこちら(PDF)から

■2019年6月14日 第19回日本抗加齢医学会総会
 理事長提言 アンチエイジングのエビデンスを探そう 
 講演内容はこちら(PDF)から

■2018年5月25日 第18回日本抗加齢医学会総会
 理事長提言 講演内容はこちら(PDF)から

■日本臨牀76 巻増刊号5 (2018年6月30日発行)
 老年医学(上)-基礎・臨床研究の最新動向-
 I.老年医学・老化研究の展望 に 「抗加齢医学と老年医学」が掲載されました。
 掲載内容はこちら(PDF)から