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2021年度第3回日本抗加齢医学会 WEBメディアセミナー

講演1:COVID-19 と血管内皮機能障害

吉田 雅幸 先生(東京医科歯科大学大学院先進倫理医科学分野 教授)

 8月23日現在、人口10万人当たりのCOVID-19患者数の増加しており、日本やイスラエルも急速に増えてきています。ECMO利用者も2021年8月に入って急増し、今や国内において100台以上稼働しており、尋常でない状況です。現状をふまえ次の3点、COVID-19の病態進展と血管機能障害、血管機能障害に着目したCOVID-19治療戦略、COVID-19重症呼吸不全治療の実態と血管機能障害についてお話します。

 血管内皮細胞の表面には、血栓や炎症を防ぐ様々な物質が発現しています。ウイルス感染など外的刺激が及ぼすと、それを排除するためにサイトカインを放出しますが、過剰になると、サイトカインストームが起こり、炎症系の細胞が常時活性化する状況になります。SARS-CoV2ウイルスは血管内皮細胞上にウイルスの受容体が発現し、直接内皮細胞を機能低下させて、それが血栓、最終的には致死的な状況になることが想定されています。

 感染初期は肺胞の中で炎症はあっても全体の臓器ダメージは少ないのですが、遷延期になると肺の中に様々な分泌物が出たり、繊維化が起こったりして空気が入らなくなり、呼吸不全の状況になります。血管は血管内皮機能不全を契機とする好中球活性化とNETが凝固・線溶系の異常を誘発し血栓ができやすくなり血栓症から心不全、腎不全など全身の機能不全を併発し、治療が難しくなってきます。

 COVID-19に伴う死亡においては、凝固線溶異常、特にDDやFDPが観察されます。軽症の患者においては、DD値が正常上限の3-4倍高値であれば、高リスクとして他に症状がなくても、できるだけ入院が望ましく、低分子量ヘパリンの予防投与が勧められます。中等症の場合、未承認低分子ヘパリン、抗凝固療法が試験的に行われていますが、エビデンスはまだ十分はありません。重症例の場合は、動静脈血栓症のリスクがある場合や、DVT/PTEの発症頻度が高いので、ヘパリンの治療量による抗凝固療法を推奨していますが、ヘパリンは出血のリスクもあります。最近注目されている病態としては、ヘパリンを使用することによって、血小板の減少と血栓閉塞性疾患を併発する病態(HIT:ヘパリン起因性血小板減少症)があります。

 最近の興味深い報告としては、スタチンを使用している方はCOVID-19にかかった場合、予後がよいという論文が出ています。重症でも予後がよいかもしれないというデータもあります。
 COVID-19感染後14日以内の急性心筋梗塞発症リスクは非感染者の3.41倍、虚血性脳卒中発症リスクは、3.63倍になり、合併症に注意しなければなりません。
 COVID-19入院患者において、がんの既往がある場合、最近の化学療法を受けている場合は、院内死亡のリスクが高くなるので、要注意です。

 東京医科歯科大学でECMO使用について、医療サイド、患者サイドでアンケート調査をした結果、患者の状態が悪い場合は、口頭での説明が多く、具体的な病状の説明が困難な事例もあることがわかってきました。ECMOの導入については、東京医科歯科大学では重症用に10床が稼働しています。適応検討⇒同意取得⇒導入⇒ECMOの管理・維持⇒離脱の支援をしていますが、昨今患者が急増している中で適応に難渋しています。

講演2:コロナ禍で女性のGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)症状はどう変化したか?~フェムゾーン・排尿・セックストラブルについて~

関口 由紀 先生(医療法人LEADING GIRLS 女性医療クリニックLUNAグループ理事長・CEO)

 女性の人生のラスト33年間で努力すべきことは下半身の強化です。注目度は低いのですが、骨盤底筋が大事で、さらに閉経後の女性のQOLにGSMが大きく関連することがわかってきています。
 骨盤のアンチエイジング3つは、骨盤底筋群・腹筋背筋の強化、全身運動による心肺機能の維持です。まずはこれらを3か月頑張ってください。3か月後の改善度が70%以下であれば、クリニック受診をおすすめします。腹発性膀胱にはボトックス膀胱壁注入療法が保険適用になり、軽い薬服用と併せて6か月は治療効果が持続します。

 泌尿器科で扱う症状のうち女性性機能障害があり、これは性的意欲/興奮障害、オーガズム障害や性交疼痛症などをまとめたものです。この障害の中でも欧米で治療対象の主流となっているのは、性的意欲/興奮障害です。性的意欲を増強する因子は、地中海食、運動、社会的に活発であることなどで、低下させる因子は喫煙、うつ病などです。

 生きる意欲がわかない、全身の倦怠感が持続しているなどの症状が起こる女性の男性ホルモン欠乏症候群があります。当クリニックでは治療基準を設けており、患者がその基準を満たしていれば、男性ホルモンの代表格であるテストステロン療法を行います。適切なホルモン補充療法は患者のQOLを向上させることができます。

 コロナ禍により、泌尿器や性機能に関連した変化については、まずフレイルサイクルが懸念されます。尿漏れ症状があると精神的に落ち込みやすくなるものです。解決策としては、人混みを避けて、同居する人とウォーキングすることが重要です。コロナ禍の性機能について、女性は性意欲や性的興奮の低下が見え、全体的な性機能に影響を及ぼしている一方、男性はコロナ禍でED増加という報告はありません。またコロナ禍であってもパートナーと過ごす時間の多い男性は、パートナーと過ごす時間が少ない男性よりも性機能がよいことが報告されています。

講演3:コロナ禍でのメンズヘルスとパフォーマンスアップ

井手 久満 先生(獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科・低侵襲治療センター 教授/日本抗加齢医学会理事)

 緊急事態宣言発令によるリモートワーク増加に伴って1日の運動量が減少したことにより、いわゆるコロナ太りが懸念されています。日本人男性の3人に1人は肥満(BMI25以上)、また男性の3割は糖尿病が強く疑われます。糖尿病治療も40代から50%ほどが治療を開始しています。メタボリック因子が高いほどテストステロン値が低くなっており、日本人データとしても、メタボリックシンドローム患者ならびに、前立腺がん患者においてもBMIが高いほどテストステロン値が低いのです。つまり、コロナ太りによるテストステロン値の低下リスクが懸念されます。

 テストステロン減少は、加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)いわゆる男性更年期、及びメタボリックシンドロームにも関与しており、それらが土台となり脳梗塞、前立腺がんや過活性膀胱をはじめとした病態を引き起こします。夜間頻尿は深刻で、夜間に3回以上トイレに向かっている人は有意に死亡率が増加することも報告されています。

 コロナ禍において単身世帯、家族世帯ともに家飲みが増加していますが、飲酒によってテストステロンが低下することがわかっています。深酒、喫煙、肥満、ストレスによってテストステロン値が低下すると、EDも発症します。

 また、精子のDNA断片化もテストステロンの関与が示唆されています。精子のDNA断片化は自然受精含め、体外受精、顕微授精の妊娠率が低くなり、流産率が高くなるという報告があります。

 臨床研究から運動による更年期症状の改善効果があることが報告されています。また、運動とダイエットによるテストステロンとの関係性の調査では、激しい運動より軽い運動の方がテストステロンは上昇するということですので、コロナ禍でも自宅でできるストレッチ等の運動が推奨されます。コロナ禍でもテストステロン値を維持する過ごし方をしましょう。

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